ある日の夕方、空の色が変わりはじめたのを見て、ロードバイクを引っ張り出しました。
目的地は江ノ島……といっても特別なことはなく、いつもの海沿いコースです。
逗子の不如帰(ほととぎす)の碑をスタート地点に、海沿いを西へ向かいます。
鎌倉、稲村ヶ崎、七里ヶ浜を抜けて、片瀬・江ノ島までは約15kmです。
地元のサイクリストにはおなじみのルートで、特別な寄り道もせず、ただ走って夕陽を見て帰ってくる——そんな日常のサイクリングです。
今回はその「海沿いサイクリングコース」で出会った秋の夕方の光景を、写真でご紹介します。
逗子・不如帰の碑からスタート

夕陽を見るため今日も出発は逗子からです。
上の写真は、明治の文豪・徳冨蘆花の小説「不如帰(ほととぎす)」の舞台となった地で、海岸には記念碑が建っています。
防波堤の向こうには、遠く大島や三浦半島が見えています。
この日は風もなく、気温も暖かでちょうどよく、10月中旬のサイクリングには最高のコンディションです。
逗子海岸の夕方は、鎌倉や江ノ島周辺と比べるとかなり静かです。
地元の人が犬の散歩をしていたり、海をぼーっと眺めていたり、日常の海という雰囲気が心地よい場所です。
国道134号線を西へ
逗子から鎌倉方面へは、国道134号線で海沿いを走っていきます。
小坪のあたりでは、坂を上るので高台からの海の眺めも素晴らしいです。
左手は相模湾、右手は山と住宅地が続きます。
この区間は、太平洋岸自転車道として、地元ライダーもよく走るルートです。
海沿いをサイクリングで週に2,3回走りますが、車で通る方には「ただの通勤路」でも、自転車だと視界の広さと海の近さが段違いです。
鎌倉の海を抜けて

小坪トンネルを抜けると、鎌倉の海(材木座・由比ヶ浜)に出ます。
長い砂浜の向こうには稲村ケ崎のシルエット、その奥には富士山と伊豆半島です。
夕方の由比ヶ浜では、砂浜に腰を下ろして夕陽を眺めている方をよく見かけます。カップル、学生、友だちと一緒に来ている人——目的は同じ「夕陽」なのに、過ごし方は人それぞれです。
雲の切れ間から太陽の光芒が差し込む瞬間は、何度見ても飽きません。写真を撮ろうとスマホを構えても、実際の空の広さ・色の深さには、どうしても追いつかないものです。
走りながら気になる景色があれば、すぐに停まれるのが自転車のいいところです。車では流れてしまう景色も、自転車なら気の済むまで眺められます。
稲村ヶ崎・七里ヶ浜へ

鎌倉の海を西へ進み、稲村ケ崎を越えると七里ヶ浜です。
この区間は鎌倉エリアのなかでもサイクリスト・サーファーに人気のエリアです。
七里ヶ浜から江ノ島がぐっと近づいてくると、あと少しという気持ちになります。
海岸沿いに続く遊歩道からは、江ノ島のシルエットがくっきりと浮かび上がって見えます。
追い風だと特に気持ちよく、ペダルを踏むのが楽しくなる区間です。
片瀬・江ノ島エリアへ到着

日没までには少し時間があったので、さらに走って片瀬・江ノ島エリアへ行きました。
改めて見ると、ヤシの木と信号機、そして空の色が交差する、湘南らしい交差点の景色です。
日中は観光客で混み合うエリアなので、こうした交通ルールも地元ならではの風景のひとつです。
江ノ島をバックに沈む夕陽
湘南海岸で見る、海の向こうに沈んでいく夕陽は何度見ても特別な景色です。

江ノ島が完全に逆光のシルエットになる時間帯は、ほんの数十分ですが、この一瞬のために、全国から多くの人が集まってきます。
遊歩道には、同じように夕陽を見に来た方々が静かに腰を下ろしていました。言葉を交わさなくても、「今日もいい夕陽だね」という空気が共有される時間です。

日没後の静かな時間

太陽が完全に沈んだあとも、空の色はしばらく変わり続けます。オレンジから薄紫、そして深い青へ。
夕陽を見終えた人たちが、ゆっくりと帰路につく時間。駐車場の車に戻る方、もう少し海を眺めていく方——。それぞれのペースで、一日の終わりの時間が流れていきます。
外国人、地元民、たくさんの人が日没後も海と夕日を眺めてました。
七里ヶ浜の駐車場もたくさんの人が留まって空を眺めてました。

来た道を逗子まで戻る頃には、すっかり夜。前照灯を点けて、海沿いの道を走って帰ります。
「海の近くに住む」ということ
気軽に走れるサイクリングコースとして海沿いの道があるーーこれは、海の近くに住んでいることの、何気ないけれど大きな魅力かもしれません。
日常の中に、こういう時間がある
旅行で来た方にとっては「特別な景色」でも、海沿いに暮らす方にとっては「天気が良ければ、ちょっと走りに出かける場所」、立ち寄りスポットも、お目当てのカフェも必要なく、
ただ走って、夕陽を見て、帰ってくる、それだけで満ち足りた時間になります。
もちろん、海沿いの暮らしは良いことばかりではありません。
塩害、台風時の高波、観光シーズンの渋滞……それでも、ふと空を見上げたときに夕陽が綺麗、自転車で15分走れば海が見える、という日常は代え難いものがあります。
逗子・鎌倉・藤沢・茅ヶ崎——選択肢はいろいろ
神奈川県内で「海の近くに住む」といっても、エリアによって雰囲気はさまざまです。
- 逗子・葉山|静かで上質な海沿いの暮らし。地元感の強い穏やかなエリア
- 鎌倉|歴史と海が共存する街。観光地としての顔と、地元の暮らしが混在
- 藤沢(片瀬・鵠沼)|江ノ島に近く、観光地と住宅地が混在する賑やかなエリア
- 茅ヶ崎|サーファー文化が根付く、おおらかな雰囲気
- 三浦半島|よりローカルで自然豊かな環境
それぞれに個性があり、「海の近く」と一括りにできない奥深さがあります。
湘南海岸サイクリングのメモ
今回のルート
逗子・不如帰の碑 → 小坪 → 材木座 → 由比ヶ浜 → 稲村ヶ崎 → 七里ヶ浜 → 腰越 → 片瀬・江ノ島
気候・服装
- ベストシーズンは10月〜3月。日没が早く、夕方の予定にちょうど収まる
- 空気が澄んでいて、富士山がよく見える時期
- 日没後は冷え込むので、ウインドブレーカーなど羽織るものを一枚持っておくと安心
自転車で走る場合の注意
- 国道134号線は交通量が多いので、歩道・自転車道がある区間はそちらを活用
- 小坪トンネル付近は歩道が狭い区間があり注意
- ライトは必須(夕方以降は暗くなる)
- 海風は強い日もあるので、帽子・サングラスは飛ばされないように
- 塩分で車体が傷みやすいので、海沿いを走った後は水洗い・注油を忘れずに
景色のベストポイント
走りながら「ここは良い」と毎回思うのは、以下のあたりです。
- 小坪〜材木座の間:高台からの海の眺め
- 稲村ヶ崎の高台:富士山と江ノ島を同時に望める
- 七里ヶ浜の中ほど:江ノ島がもっとも美しく見える角度
- 片瀬東浜の交差点:江ノ島と夕陽が信号越しに重なる構図
- 湘南海岸:海と夕陽がきれいに望める
さいごに
「夕陽を見に行く」というだけの目的で、ふらっと自転車で出かけられる、これは海の近くに住んでいることの、ささやかで、でも大きな贅沢かもしれません。
観光で湘南や鎌倉、逗子に来られる方も、ぜひ夕方の時間に海岸線を歩いたり、自転車で走ったりしてみてください。
日中とはまったく違う、やわらかく静かな湘南の表情に出会えるはずです。
そして、もし「海の近くに住んでみたいな」と感じたら……そのときはまた、別の記事でそんな暮らしについてもお伝えできればと思います。
撮影日:2026年10月15日
ルート:逗子・不如帰の碑 〜 鎌倉 〜 稲村ヶ崎 〜 七里ヶ浜 〜 片瀬・江ノ島(片道約15km)
天候:秋の過ごしやすい夕方、風も穏やか
使用機材:自転車/スマートフォン撮影




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