パークストーリーkanagawa| 神奈川の魅力と暮らしを深掘りする地域ガイドメディア

鎌倉五山めぐり完全ガイド|制度・歴史・1日で巡るモデルコース

鎌倉五山めぐり完全ガイド|制度・歴史・1日で巡るモデルコース

鎌倉五山(かまくらござん)——。それは、鎌倉時代に中国の五山制度にならって定められた、鎌倉の禅宗寺院における最高位の5つの寺院です。

建長寺・円覚寺・寿福寺・浄智寺・浄妙寺、それぞれが鎌倉幕府の執権や、その一族ゆかりの寺として建立され、鎌倉という武家の都の精神的な支柱となってきました。

 

今回は、そんな「鎌倉五山」についてまとめました。

  • 歴史的背景
  • 各寺の特徴
  • 拝観料
  • 御朱印情報など

鎌倉五山を深く味わうために、どこかでお役に立てれば幸いです。

目次[閉じる]

鎌倉五山とは|中国の五山制度にならった寺格

五山制度のはじまり

鎌倉五山の「五山(ござん)」とは、元々はインドの五精舎に由来する仏教用語です。中国・南宋時代に、禅宗寺院の中で特に格式の高いものを「五山」「十刹」と定める官寺制度が確立しました。

日本では鎌倉時代後期、これを模倣して鎌倉の主要な禅寺に五山の格付けが与えられました。

鎌倉五山は単なる有名寺院の集まりではなく、幕府が認めた公式な格付け制度です。

 

序列が確定したのは足利義満の時代

鎌倉五山の序列は、実は何度も変わってきました。

当初は建長寺・円覚寺・寿福寺・浄智寺などが順位なしで五山と呼ばれていましたが、鎌倉幕府の滅亡後、政治情勢とともに序列が変動しました。

京都の南禅寺・東福寺・建仁寺と鎌倉の建長寺・円覚寺を合わせて五山とした時期もありました。

 

最終的に現在の五山が確定したのは、室町時代の1386年、3代将軍・足利義満の時代です。

義満は京都の南禅寺を「五山之上」として別格に置き、その下に京都五山(天竜寺・相国寺・建仁寺・東福寺・万寿寺)と鎌倉五山(建長寺・円覚寺・寿福寺・浄智寺・浄妙寺)をそれぞれ定めました。

この順位はその後の五山制度の根幹となり、今日まで引き継がれています。

 

鎌倉五山に込められた政治的意味

五山制度は、単なる宗教的な格付けではありません。

幕府が禅宗を保護し、統制するための制度でした。

 

鎌倉幕府の執権北条氏は、禅僧を中国から招き、自らの菩提寺として巨大な禅寺を建立しました。

武家の精神修養の場として、また外交・文化の窓口として、禅宗寺院は武家政権に欠かせない存在になりました。

五山の序列は、それぞれの寺の政治的な重要性も反映しています。

 

建長寺が第一位なのは、最初の本格的な禅寺として建立されたからです。

円覚寺が第二位なのは、元寇の戦没者慰霊という国家的な事業の中心だったことからです。

寿福寺が第三位なのは、北条政子の建立であることからです。

こういった歴史的背景を知っておくと、鎌倉観光がより楽しくなります。

 

鎌倉五山一覧|序列・開山・開基・拝観情報

鎌倉五山の全体像

序列寺名創建開山開基最寄駅拝観料
第一位建長寺1253年蘭渓道隆北条時頼北鎌倉(徒歩15分)大人500円
第二位円覚寺1282年無学祖元北条時宗北鎌倉(目の前)大人500円
第三位寿福寺1200年栄西北条政子鎌倉(徒歩10分)志納
第四位浄智寺1281年頃南洲宏海ほか北条宗政北鎌倉(徒歩8分)大人200円
第五位浄妙寺1188年退耕行勇足利義兼鎌倉駅からバス大人100円

※拝観料は2026年4月時点の情報です。※寿福寺の中門内は非公開(正月、ゴールデンウィークに境内特別解放)。

 

第一位・建長寺|日本初の本格的禅寺

所在地鎌倉市山ノ内8
最寄駅JR横須賀線「北鎌倉駅」から徒歩15分

 

特徴

建長5年(1253年)、鎌倉幕府5代執権・北条時頼が創建した、日本で最初に禅寺として建立された禅宗寺院です。

開山は南宋から招かれた禅僧・蘭渓道隆です。

本尊は地蔵菩薩です。禅寺の本尊として地蔵菩薩というのは珍しく、建長寺の地にあった地蔵堂の本尊を引き継いだためといわれます。

 

見どころ

総門・三門・仏殿・法堂が一直線に並ぶ禅宗様の伽藍配置が見事といわれ、特に三門(山門)は、安永4年(1775年)に再建された重要文化財で、楼上に五百羅漢像を安置しています。

国宝の梵鐘は、建長7年(1255年)の鋳造で、日本三大名鐘のひとつです。寺の開山時からの遺物として貴重です。

奥に進むと半僧坊があり、ここから鎌倉の街や相模湾、天気が良ければ富士山まで一望できます。

五山めぐりのなかでも特に所要時間が長く、ゆっくり巡ると1時間以上かかります。

 

 

第二位・円覚寺|元寇の戦没者を慰霊する寺

所在地鎌倉市山ノ内409
最寄駅JR横須賀線 北鎌倉駅から徒歩すぐ

 

特徴

弘安5年(1282年)、8代執権・北条時宗が、元寇(文永・弘安の役)で戦没した日本・モンゴル双方の将兵を慰霊するために建立しました。

開山は宋から招かれた無学祖元です。

北鎌倉駅の目の前にあるため、電車を降りて真っ先に訪れられる五山です。

 

見どころ

国宝の舎利殿は、鎌倉の建築物で唯一の国宝に指定されています。

中国南宋時代の建築様式に学んだ禅宗様建築の代表的な遺構で、普段は非公開ですが、正月・ゴールデンウィーク・11月の宝物風入れの期間に特別公開されます。

もう一つの国宝である洪鐘(おおがね)は、鎌倉一の大きさを誇る梵鐘です。高台にあり、境内を一望できる場所です。

境内には塔頭(たっちゅう)が多く、桂昌庵には鎌倉十橋の一つ「十王堂橋」近くにあった十王堂の十王像が移されています。

 

 

第三位・寿福寺|北条政子が建立した鎌倉最古の禅寺

所在地鎌倉市扇ガ谷1-17-7
最寄駅JR横須賀線 鎌倉駅から徒歩10分

 

特徴

正治2年(1200年)、源頼朝の妻・北条政子が、栄西禅師を開山に招いて建立した鎌倉最古の禅寺です。

源頼朝の父・義朝の旧邸跡に建てられたと伝えられています。

開山の栄西(えいさい)は、日本に臨済宗を伝えた僧として知られ、またお茶の栽培を日本に広めた人物としても有名です。

 

見どころ

参道の石畳から感じられる荘厳な静けさが最大の魅力です。

両側に杉の大木が立ち並び、鎌倉屈指の美しい参道と評判です。

中門内は非公開ですが、正月とゴールデンウィークに特別解放されます。

普段は総門から中門までの参道を歩くだけですが、この参道だけでも訪れる価値があります。

境内には北条政子の墓と源実朝の墓とされるやぐら(鎌倉特有の横穴式墳墓)があり、鎌倉幕府の創成期を偲ぶことができます。

 

 

第四位・浄智寺|谷戸に佇む静かな禅寺

所在地鎌倉市山ノ内1402
最寄駅JR横須賀線 北鎌倉駅から徒歩8分

 

特徴

弘安4年(1281年)頃、8代執権・北条時宗の弟北条宗政の供養のため、宗政の妻と子が建立したとされています。

開山には南洲宏海・兀庵普寧・大休正念の3人が名を連ねるという、珍しい形式の寺です。

三方を谷戸に囲まれた立地で、鎌倉の地形を最も感じられる五山とも言えます。

 

見どころ

入口にある甘露の井(かんろのい)は、鎌倉十井の一つです。かつて不老不死の霊水と信じられたと伝わります。

境内には布袋尊(ほていそん)が祀られており、鎌倉七福神めぐりの一つでもあります。お腹を撫でると元気がもらえると言われる布袋像は、多くの参拝者に親しまれています。

建物は近代のものが多いですが、苔むす石段・鐘楼門・書院など、静かな禅の雰囲気が色濃く残る境内で、五山の中でも最も禅らしい静寂を感じられる場所です。

 

 

第五位・浄妙寺|足利家ゆかりの寺と石窯ガーデンテラス

所在地鎌倉市浄明寺3-8-31
最寄駅JR鎌倉駅から「金沢八景駅」「鎌倉霊園正門」行きバス「浄明寺」下車

 

特徴

文治4年(1188年)、源頼朝の重臣足利義兼が建立しました。開山は退耕行勇です。

当初は真言宗の寺でしたが、後に禅宗に改宗しました。

鎌倉五山の中では唯一、足利氏ゆかりの寺になります。

足利尊氏の父・足利貞氏の墓があります。地名「浄明寺」はこの寺の名に由来しますが、寺の表記は「浄妙寺」です。

 

見どころ

本堂と枯山水の庭は禅寺らしい静かな佇まいです。

他の五山ほど広くはありませんが、穏やかに散策できます。

境内奥には、石窯ガーデンテラスという英国式庭園とレストラン・カフェがあります。ここは洋館を改装したカフェで、鎌倉散策の締めくくりとして人気の場所です。

鎌倉駅からバスなので、他の4寺とは離れています。巡る順序を考える際の重要ポイントです。

 

 

鎌倉五山を1日で巡るモデルコース

結論から言えば、鎌倉五山を一日で全て回ることはできます。ただしそれぞれの寺を速足で抜けてしまうのは、もったいないと思います。

  • 所要時間の目安→全5寺を丁寧に巡ると、移動時間を含めて7~8時間

朝9時出発なら、夕方17時頃には最後の寺を出られる計算です。

 

おすすめの順路

スタート:北鎌倉駅(9:00)

① 円覚寺(9:00~10:30) 駅の目の前なので、最初に訪れるのが効率的。境内が広く見どころが多いので、1時間半は見ておく。

② 浄智寺(10:45~11:30) 円覚寺から徒歩10分。静かな境内は、混雑する他の寺とのバランスが良い。

③ 建長寺(11:45~13:30) 昼食をどこで取るかで変わりますが、建長寺の売店「点心庵」で「建長汁」をいただくのも一興。見どころが多いので、拝観含めて1時間半~2時間かかる。

④ 寿福寺(14:30~15:00) 建長寺から鎌倉駅方面へ下り、扇ヶ谷の寿福寺へ。中門内は非公開なので、参道を歩いて雰囲気を味わう。

⑤ 浄妙寺(15:30~17:00) 鎌倉駅からバスで移動。

 

コースのポイント

北鎌倉に集中する3寺(円覚寺・浄智寺・建長寺)を午前〜昼に回すと効率的に回れます。建長寺は見どころが多いので、疲れる前に訪れたいところです。

寿福寺は中門内非公開なので、拝観時間が最短です。参道の雰囲気を味わうだけなら15~20分で済みます。

浄妙寺は移動時間込みで考えるとよいでしょう。鎌倉駅からのバスで20分程度。最後に石窯ガーデンテラスで休憩するのが、体力的にも気分的にもおすすめです。

 

鎌倉五山めぐりのコツ

御朱印について

五山めぐりは御朱印収集の定番コースでもあります。五山すべての御朱印を集めると、鎌倉禅寺巡礼の記念になります。

ただし注意点として、寿福寺の御朱印は当面の間対応していません(2026年4月時点)。最新状況は現地で確認してください。

また、円覚寺・建長寺・浄智寺では、鎌倉三十三観音・鎌倉二十四地蔵尊・鎌倉十三仏など複数の霊場札所を兼ねているため、御朱印も複数種類いただけます。

 

拝観時間・服装

各寺の拝観時間は概ね8:30~16:30(冬季は16:00まで)です。五山を1日で巡る場合、朝早くスタートするのがポイントです。

服装は歩きやすい靴が必須です。建長寺の半僧坊は階段が多く、参道も砂利道や石段が多いので、スニーカーが無難です。

 

季節のおすすめ

  • 春(3~4月):桜・境内の桜が美しい寺が多い
  • 初夏(5~6月):新緑と紫陽花・北鎌倉は明月院(五山ではないが近接)の紫陽花が有名
  • 秋(10~11月):紅葉・建長寺の「ZEN NIGHT WALK」など夜間拝観イベントもあり
  • 冬(12~2月):参拝客が比較的少なく、静かな禅の雰囲気を味わえる

 

混雑を避けるには

北鎌倉エリアは週末・紅葉シーズンは大変混雑します。

平日訪問か、朝一番での訪問がおすすめです。北鎌倉駅は小さな駅なので、行楽シーズンは駅改札で行列ができることが多いです。

 

鎌倉五山めぐりは「武家の都」を歩く旅

鎌倉五山をめぐる旅は、単なる寺社仏閣巡りではありません。

北条時頼、北条時宗、北条政子、足利義兼、源頼朝、源実朝——鎌倉・室町時代の歴史を動かした人々の息遣いを、境内の石段一つひとつから感じられるのが、鎌倉五山の最大の魅力です。

 

建長寺で日本の禅宗の始まりに触れ、円覚寺で元寇の国難を偲び、寿福寺で鎌倉幕府の創成期を感じ、浄智寺で禅の静寂を味わい、浄妙寺で足利一族の歴史を思う……5寺を順に巡ることで、鎌倉という武家の都の全体像が味わえます。

一日でも、二日に分けても、ぜひ五山すべてを歩いてみてください。一つひとつの寺だけでは見えない、鎌倉の深みに触れられるはずです。

 

関連記事

 

参考文献・典拠

  • 鎌倉市観光協会公式情報
  • 各寺の公式サイト
  • 『新編鎌倉志』『吾妻鏡』
  • 現地案内板の情報

 

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

コメント Comments

コメント一覧

コメントはありません。

コメントする

トラックバックURL

https://kanagawa.yokohama-lifeplan.com/kamakuragozan-meguri/trackback/

関連記事 Relation Entry