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鎌倉「英勝寺」|江戸時代の建物と歴史が息づく鎌倉唯一の尼寺を訪ねて

鎌倉「英勝寺」|江戸時代の建物と歴史が息づく鎌倉唯一の尼寺を訪ねて

梅が見頃という話を聞き、鎌倉の「英勝寺」に行ってきました。

英勝寺は、創建が江戸時代と鎌倉市の寺院では新しいほうですが、今の鎌倉では唯一の尼寺です。また、水戸徳川家と縁が深く、江戸時代に創建された建築物が今も多く残っている貴重な寺院です。

英勝寺の拝観のしおり

拝観のしおりには、徳川家の葵の紋(上の方)が描かれています。

英勝寺は、鎌倉駅の西口を出て、右に曲がって15分くらい歩けば着きます。今回は源氏山公園の台風被害の様子を探りに、源氏山公園にも寄りました。

新型コロナウイルスの影響で観光客が激減しているそうですが、確かに人が少ないような気がしました。 鎌倉市内の各寺院でもイベントが相次いで中止しているようですし、これからいつまでこんな状況が続くのか心配です。

英勝寺は水戸徳川家と縁の深い寺院

●英勝寺について

  • 宗旨 浄土宗
  • 山号 東光山
  • 創建 寛永13年(1636)
  • 開山 玉峯清因
  • 開基 英勝院尼
  • 本尊 阿弥陀如来

 

英勝寺の場所に上杉氏の家宰・太田道灌の邸宅があったといわれ、惣門前に「太田道灌邸旧蹟」の碑が建っています。ちなみに鎌倉では、こういった碑がいたるところで見られます。

太田道灌邸跡

「此の地は、武略文藻兼ね備へ忝くも武蔵野は萱原の野と聞きしかどかかる言葉の花もあるかなてふ叡感にさへ預りたる道灌太田持資が江戸築城前の邸址なり 寛永11年、今の英勝寺と為る其の創立者水戸藩祖頼房の准母英勝院は道灌の嫡流太田康資の女なるより晩年将軍家光より特に此の地を授りて之に住するに至れるなり 孤鞍雨を衝いて茅茨を叩く少女為に遣る花一枝の詩趣ある逸話は道灌が壮年猶此に在りし日に於て演ぜられし所のものなり」

 

開基の英勝院は、太田道灌の5代の孫で、太田康資の娘です。徳川家康が関東に入封した後に側室になり、お梶の方と呼ばれました。

お梶の方は、家康の側室でしたが、子供が夭折してしまったので、家康はこれを哀れに思って息子の一人を養育させたといわれています。

英勝院に養育された子が水戸徳川家の祖徳川頼房だったため、英勝寺は江戸時代を通じて水戸徳川家と深い関係にありました。

歴代の住持には、水戸徳川家に連なる姫がなりました。英勝寺は水戸家の侍が警護にあたり、まるで大名屋敷のようだったそうです。

 

英勝寺の建築物

英勝寺には、数多くの貴重な宝物が保存されています。仏殿、祠堂(しどう)、山門、唐門、鐘楼は重要文化財になっています。

 

英勝寺の総門がこちらです。

英勝寺総門

入口はここではなく、線路に沿って少し進んだところにあります。

英勝寺入口

門の横の小さな入口から入ります。

 

入口を入り、整備された道を歩いて行くと、鐘楼があります。

英勝寺鐘楼

鐘が見えなくて最初は鐘楼と分かりませんでした。何だか工芸品のような洒落た鐘楼です。

 

英勝寺山門

国指定重要文化財の英勝寺の山門です。讃岐高松藩の松平頼重(徳川頼房の長男)により寛永二十年(1643)に建立されました。訪れた日は山門前が工事中でした。大きくはないですが、重厚感のある山門です。

 

英勝寺三門の扁額

山門の扁額です。

仏殿にある本尊の阿弥陀三尊像は、運慶の作といわれています。

英勝寺仏殿

仏殿の正面の小窓を開けると、本尊の阿弥陀三尊像を拝めます。

阿弥陀如来像

 

唐門

 

国指定重要文化財の唐門です。

唐門の工芸

唐門には花が彫られてましたが、素晴らしい芸術作品です。

 

祠堂

祠堂では英勝院の位牌を祀っているそうです。現在は別の建物内にて保管されてます。

 

竹林の横にある書院です。

英勝寺書院

花の寺英勝寺

英勝寺はパンフレットなどで花の寺として紹介されることがよくあります。サクラ、梅、萩、紅葉など、四季折々の花が境内で見れます。

今回訪れた時期が2月だったので、ちょうど梅が見頃でした。

英勝寺の梅

わびすけ

こちらは天然記念物の侘助です。

 

山門横の唐楓も天然記念物です。

唐楓と山門

うつぎ

 

階段を登った先には、竹林があります。

英勝寺の竹林

鎌倉の竹林というと、浄明寺の報国寺が有名ですが、英勝寺の竹林もなかなか見事でした。

英勝寺へのアクセス

所在地 神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-16-3
アクセス JR鎌倉駅から徒歩15分
拝観時間 9時~16時
拝観料 300円(2025年5月)

 

化粧坂を通って源氏山公園へ

英勝寺を出た後、源氏山公園に行きました。線路に沿って北に行き、住宅地を進んで途中で左に曲がって少し進むと、左手に水鑑景清大居士の石碑があります。ここに伊藤景清の土牢があったという言い伝えがあります。

 

さらに道を進んで行くと鎌倉七口の一つ化粧坂に着きます。

化粧坂入口

化粧坂は、扇ガ谷と源氏山を結ぶ交通の要衝だったといわれています。全長は短いですが、道が細く急なのでここを塞がれると先に進めません。守に易く攻めるに難しい場所だったそうです。 

化粧坂登り

化粧坂は短いので歩いてみることをおすすめします。鎌倉の切通しの雰囲気を味わえます。

 

先日の台風の影響で鎌倉全体が立入禁止になってました。化粧坂は通行が可能ですが、源氏山はところどころ立入禁止のテープが張られてました。

源氏山台風後の禁止テープ

源氏山公園の台風後

倒木も多かったようで、いたるところで倒木撤去の処理をしてました。

 

化粧坂案内

化粧坂の案内板も上の部分がつぶれてました。

ハイキングコースや切通しの中には、復旧のめどが立っていないものも多いみたいです。復旧については、鎌倉市や横浜市のHPで確認できます。

まとめ

鎌倉で唯一の尼寺だからなのか、英勝寺は何となくやさしい感じを受けました。外国人観光客も少ないため、今なら静かに見学できます。

女性に人気の寺院で、寿福寺を見学した後に訪れる人が多いです。リピーターが多い寺院でもあるみたいです。

英勝寺にトイレはないので、鎌倉駅から来る途中にある寿福寺近くのトイレで済ませるのがいいかもしれません。

 

●英勝寺について

  • 英勝寺は水戸徳川家と縁が深い
  • 鎌倉で唯一の尼寺
  • 太田道灌の屋敷が近くにあった
  • 英勝寺は花の寺としても知られている

 

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