源頼朝が建立した勝長寿院、永福寺(ようふくじ)、鶴岡八幡宮の3つは三大寺院と呼ばれています。
といっても現在は、勝長寿院と永福寺は現存しておらず、鶴岡八幡宮だけしかありません。
ただ、永福寺の跡地については大規模な遺構が残っており、現在も開園時間内なら見学できます。
勝長寿院は跡地が住宅地になって遺構が残ってませんが、石碑が歴史を伝えています。
今回は三大寺院と周辺をまわってきたので紹介します。
長寿院跡地
勝長寿院は、大御堂ヶ谷という場所にあるため大御堂とも呼ばれました。
勝長寿院には、定朝作の本尊・金色阿弥陀仏像を始め、運慶作の五大尊像などが安置され、壁画に彩られた阿弥陀堂、五仏堂、法華堂、三重の宝塔などの荘厳な伽藍が立ち並んでいたそうです。
鎌倉幕府滅亡後は足利氏によって保護されていましたが、十六世紀頃に廃絶したといわれています。
現在の跡地には住宅が建ち並んでおり、史跡もその一画にひっそりとあります。
勝長寿院は、頼朝の父である義朝の菩提を弔うために建てた寺院といわれています。
現在の跡地には、義朝と義朝に最後まで付き従って共に最期を遂げた従者・鎌田政清の墓が立っています。
頼朝は政清の忠義に報いるため、子供を地頭職に任じたそうです。
勝長寿院旧蹟
「院は文治元年源頼朝の先考義朝を祀らんが為に草創する所、一に南御堂又大御堂と言う此の地を大御堂が谷と言うは是が為なり。実朝及び政子も亦此の地に葬られたりと伝へらるれども、其墓今は扇が谷寿福寺にあり。」
頼朝の妻政子と次男実朝も此の地に葬られたとありますね(現在は寿福寺に供養塔が建っている)。
左が源義朝の墓、右が鎌田政家(政清)の墓とのことです。
長勝寿院跡のアクセス
所在地 | 神奈川県鎌倉市雪ノ下4丁目6−20 |
史跡は、金沢鎌倉街道の大御堂橋を入った先にあります。
永福寺跡地
永福寺(ようふくじ)の始まりは、源頼朝が奥州藤原氏を滅ぼした際の合戦で戦死した人々の霊を弔うためといわれています。
永福寺は、平泉の二階堂大長寿院を模範にして建久3年(1192)に建立されました。
二階堂の名前は、この辺りの地名にもなっています。
入口で配布していた永福寺のパンフレットによれば、何度も火災などによって焼失しており、罹災後に何度も再建されてきましたが、1405年の火災後は再建されることなく、廃絶してしまったようです。
上の写真は湘南工科大学が作成した永福寺の復元想像CGです。
こちらは永福寺跡の案内マップです。といっても建物が建ってるわけではありません。
何も建ってないせいか、永福寺跡地が広く感じられます。
永福寺跡は、観光客が少ない穴場スポットかもしれません。華はないですが国の指定史跡になっています。地元の人と歴史好きには人気です。
「南翼廊」です。
南翼廊は、阿弥陀堂の南側にあった翼廊です。調査によると、南に約13.4m・東に折れて東西に約27.7mの長さがあったようです。
南翼廊の南面には、間口約4.8m奥行き約3.6mの四脚門といった規模の「南中門」があったそうです。
二階堂の南側にあったといわれる「阿弥陀堂」です。阿弥陀如来を本尊としていたので阿弥陀堂と呼ばれました。
こちらは「南複廊」です。二階堂と阿弥陀堂をつなぐ長さ約12.7mの建物です。
永福寺の中心となる仏堂が「二階堂」です。
二階堂には、本尊の釈迦如来が安置されていたようです。
三堂の前には細長い池があります。
上の写真は、二階堂と薬師堂をつなぐ北複廊跡です。
そして、こちらが「薬師堂」跡です。
薬師堂は、二階堂の北側に建っていた脇堂です。
薬師堂には、薬師如来が本尊として安置されていたといわれています。
上の写真が釣殿があった場所です。
釣殿が寺院建築にあるのは大変珍しいそうです。釣殿は池に面した建物をいいます。
永福寺跡のアクセス
所在地 神奈川県鎌倉市二階堂
永福寺跡は、鎌倉宮の前の道を通ってさらに進むとあります。
駐車場はありませんが、駐輪場はあります。
鶴岡八幡宮
いまさら説明するまでもありませんが、鶴岡八幡宮は、源頼朝が建立した三大神社の中で唯一現存する寺院です。
鶴岡八幡宮は源氏の守護神であり、鎌倉を代表する寺院の一つです。
現在は、日本各地で外国人観光客を見かけるようになりましたが、鎌倉で最も多く外国人を見かけるのがこの鶴岡八幡宮です。
初詣でもたくさんの人が訪れる場所で、三が日は由比ヶ浜(滑川)から車は入れなくなります。
写真は二の鳥居と段葛です。段葛は桜の名所としても知られています。
三の鳥居です。
(鶴岡八幡宮の本宮)
鶴岡八幡宮のアクセス
所在地 神奈川県鎌倉市雪ノ下2丁目1−31
源頼朝が建立した鎌倉三大寺社まとめ
・鎌倉三大寺社は源頼朝が建立した三社寺をいう
・鶴岡八幡宮・永福寺・勝長寿院の三つが鎌倉三大寺社
・現存してるのは鶴岡八幡宮のみ
・永福寺は跡地を見学できる
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