鎌倉は、南が海で北・東・西の三方は山に囲まれていたので、古くから鎌倉と外をつなぐための切通しがいくつも作られました。
切通しというのは、山や丘を人口で切り開いて作った道をいいます。
鎌倉の中でも特に知られている切通しは、鎌倉七口と呼ばれています。
そんな鎌倉七口(かまくらななくち)を回ってきました。
鎌倉七口とは?
鎌倉七口(かまくらななくち)は、中世の時代に自然の山と谷に囲まれた鎌倉を外部とつなげた7つの主要な通り道(街道)をいいます。
鎌倉を要塞都市たらしめた地形と人工の工夫の結晶ともいえる存在といえます。
鎌倉は海がある南を除いて三方を山に囲まれていたので、切通しも防衛目的に地形を活かした作りとなっています。
切通しの目的
- 首都防衛の軍事目的
- 緊急の脱出ルートとして
- 外港と結ぶため(経済ルート)
- 物資輸送のため
- など
鎌倉七口は、以下の7つをいいます。
- 朝夷奈切通(あさいなきりどおし)
- 名越切通(なごえきりどおし)
- 巨福呂坂(こぶくろざか)
- 亀ヶ谷坂(かめがやつざか)
- 化粧坂(けわいざか)
- 大仏切通(だいぶつきりどおし)
- 極楽寺坂(ごくらくじざか)
鎌倉七口と特徴
鎌倉七口が資料に登場するのは江戸時代になってからと言われますが、成立がいつか判明していないものも多いです。
現在も歩いて利用できる切通がある一方で、通れなくなっていたり、整備されて面影がなくなっている切通もあります。
(鎌倉の中心エリアを囲むようにある鎌倉七口)
鎌倉七口の特徴
- 普段は人の通り道であり、軍事防衛上の重要な拠点
- 道幅は狭く、切り立った崖に囲まれている
- 敵の侵入を防ぐのに適している
- やぐら(岩をくり抜いた穴)や石塔が点在
名前 | 接続先 | 特徴と見どころ |
巨福呂坂 | 鎌倉〜北鎌倉方面 | 現在は私有地になっており、道もない。 |
亀ヶ谷坂 | 鎌倉〜北鎌倉・山ノ内 | 武士が馬を引いて通った急坂。現在は道が整備されて歩行可能、車は通れない。 |
朝夷奈切通 | 鎌倉〜金沢・六浦方面 | 最も当時の姿が残る切通し。塩の道としても知られる。 |
大仏切通 | 鎌倉〜長谷〜藤沢方面 | ハイキングルートとして人気。 |
名越切通 | 鎌倉〜逗子・三浦方面 | やぐら群や大切岸など中世の遺構が多く残る。 |
極楽寺坂 | 鎌倉〜七里ヶ浜方面 | 現在は拡幅され面影なし。 |
化粧坂 | 源氏山~扇ガ谷 | 急斜面の短い切通し。新田義貞軍も突破できなかった。 |
鎌倉七口の今
鎌倉のメイン通りは他に移りましたが、現在でもほとんどの七口は徒歩での散策やハイキングができます。
●朝夷奈切通
足元が滑りやすいので、歩きやすい靴で行くことをおすすめします。
鎌倉七切通の一つ「朝夷奈切通」|中世の面影を残す古道を歩く歴史散策
●名越切通
途中にある大切岸とまんだら堂やぐら群がおすすめです。まんだら堂やぐら群は、期間限定(令和7年は2回)で公開されます。
絶景と歴史を満喫!逗子の隠れ名所「お猿畠の大切岸」と「まんだら堂やぐら群」を歩く旅
●巨福呂坂
道はなくなってしまいましたが、供養塔や庚申塔が手前にあります。
●亀ヶ谷坂
バイクや自転車なら通れますが、上に車止めがあるので車は通れません。
●化粧坂
距離は短いですが、雰囲気を味わえます。
源氏ゆかりの地「源氏山公園」|鎌倉観光にぴったりな自然と歴史の名所
●大仏切通
比較的歩きやすいですが、階段があります。
【鎌倉七口・大仏切通】鎌倉に続く中世の古道|ハイキングでたどる歴史の道
●極楽寺坂
現在は生活用道路として利用されています。日限六地蔵尊の近くに極楽寺の石碑があります。
鎌倉七口で現在でも人気なのは、以下の4ルートです。
-
- 朝夷奈切通
- 大仏切通
- 名越切通
- 化粧坂切通
1.朝夷奈切通:最も中世らしさを感じる歴史的価値の高い道。横浜側入口に案内あり。
2.大仏切通:アクセスしやすい。
3.名越切通:やぐら群と大切岸が残る人気ルート。
4.化粧坂切通:短いながら雰囲気を感じられる。源氏山公園と扇ガ谷を行き来できる。
鎌倉七口の醍醐味
- 『観光地の喧騒から離れ、かつての武士や庶民が歩いた道をたどる。』
- 道端の石仏や草の匂い、切り立った崖や苔むした壁など、風景そのものが語る歴史に思いをはせる時間は、観光地を巡るだけでは味わえない体験となるでしょう。
まとめ
鎌倉七口は、鎌倉の自然の地形を活かした中世の知恵が詰まった歴史遺産です。
観光だけでなく、歴史散策やハイキングとしても魅力的です。寺社巡りと合わせて中世の街道を歩いてみてはいかがでしょうか。
鎌倉七口
- 朝夷奈切通(あさいなきりどおし)
- 名越切通(なごえきりどおし)
- 巨福呂坂(こぶくろざか)
- 亀ヶ谷坂(かめがやつざか)
- 化粧坂(けわいざか)
- 大仏切通(だいぶつきりどおし)
- 極楽寺坂(ごくらくじざか)
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