【鎌倉七口・大仏切通】鎌倉に続く中世の古道|ハイキングでたどる歴史の道

鎌倉

「大仏切通(だいぶつきりどおし)」は、鎌倉市の長谷と常盤を結ぶ中世の古道です。

鎌倉七口(かまくらななくち)と呼ばれる古道の一つであり、鎌倉に入る主要な通行路の一つでした。

今では史跡としても重視される静かなハイキングルートになっています。

 

大仏切通しでは、古道らしい風情と地形を活かした切通しが見どころです。

長谷寺や高徳院(鎌倉大仏)とセットで巡るのもおすすめです。

大仏切通の基本情報

・正式名称:大仏切通(だいぶつきりどおし)

・場所:神奈川県鎌倉市長谷~常盤間

・難易度:初級(軽装でも可能、滑りやすい箇所あり)

・通行状況:一部区間は雨天時や落石の影響で通行止めになることあり

・文化財指定:国の指定史跡、鎌倉七口の一つ

 

『大仏切通はいわゆる鎌倉七口の一つに数えられ、梶原・山崎を経て武蔵・京都方面へ通じる道路です。記録がないため正確な開削時期は不明ですが、北側にある北条氏常盤亭の存在や、朝夷奈切通や巨福呂坂の整備時期との関係から、仁治2年(1241)から建長2年(1250)ごろに整備されたと考えられています。

元弘3年(1333)の新田義貞の鎌倉攻めでは、上野国(現在の群馬県)から南下した軍勢が洲崎(現在の深沢・山崎)方面から攻め寄せ、激戦となったことが『太平記』に見えていることから、この地も戦場になった可能性があります。

大仏切通は、江戸時代に経路が変更され、現在の県道鎌倉藤沢線ができたため大規模な破壊を免れ、付近に造られた平場や、ここに開口する「やぐら」と呼ばれる岩窟、そして切岸などと共に、かつての鎌倉の幹線道路のあり方を、今によく伝えています。

平成20年2月 鎌倉市教育委員会』

 

大仏切通し自体は歩きやすいですが、大仏隧道の横から切通しまで、かなりの数の階段があります。

 

鎌倉七口とは?

鎌倉七口とは、中世の鎌倉と外とを結ぶ7つの主要な切通しをいいます。

鎌倉七口の名が資料に出てくるのは江戸時代からといわれ、徳川光圀の新編鎌倉志には鎌倉七口の記載があります。

 

鎌倉七口

  1. 化粧坂
  2. 亀ヶ谷坂
  3. 巨福呂坂
  4. 朝夷奈切通
  5. 大仏切通
  6. 名越切通
  7. 極楽寺切通

 

整備されたり、なくなってるものもありますが、まだ切通しとして残っているものもあります。

化粧坂、朝夷奈切通、大仏切通、名越切通については現在も通行が可能なので、ハイキングを兼ねて多くの人が訪れます。

いずれの切通しも歩いてみましたが、どれも整備されて歩きやすかったです。

 

  • 化粧坂:源氏山公園から近く、距離も短い
  • 朝夷奈切通:最も保存状態がよく、自然も美しい
  • 大仏切通:ハイキングも楽しめるバランスのよいルート
  • 名越切通:歴史と自然が調和したルート、やぐら・供養塔も多い

 

鎌倉は三方を山に囲まれているので、山を人工的に切り開いて道を整備する必要がありました。

鎌倉七口以外にも多くの切通がありますが、大仏切通はその中でも歴史的価値の高い道といえるでしょう。

 

大仏切通の見どころ・特徴

自然に囲まれた静寂のハイキング道

長谷側の入口は階段の数が多いです。

何百段もの階段を登った先なので、運動不足の人はしんどいかもしれません。冬だったのでよかったですが、これが夏なら引き返すと思います。

 

切通しまでの道は車の交通が多かったですが、上まで来ると静かなハイキング道になります。

観光地の賑わいを離れ、自然と歴史に囲まれた静かな道を歩けば、心も次第に穏やかになります。喧騒から離れて、静かな散策を楽しみたい方にぴったりです。

風の音、足音だけが響く、昔ながらの古道といった感じです。

 

鎌倉らしい岩肌の切通し

切通しを進むと、幅が狭く両側に岩壁が迫る独特の地形が現れます。

 

湿気が多く、苔やシダが生えやすいため、場所によっては静かで神秘的な雰囲気を味わえます。

 

途中の岩肌で中世のやぐらも見れます。

やぐらは鎌倉周辺ではよく見られる光景です。やぐらの中に五輪塔が置いてあるのをよく見かけます。

(大仏切通のやぐら)

中世の鎌倉の史跡としての重み

鎌倉七口をはじめとして、切通しは何百年にわたって人々の生活用道路として使われてきました。

実際に歩いてみて中世の歴史に思いを馳せてみるのも、歴史好きにはたまらないのではないでしょうか。

(国指定史跡 大仏切通)

 

大仏切通までのアクセス

大仏切通には、長谷側から入るルートと常盤側から入るルートがあります。ハイキングコースを使うコースもありますが、それだと遠回りです。

バスを利用する場合は常盤側、長谷駅から徒歩の場合は長谷側からがおすすめです。

 

所在地 神奈川県鎌倉市長谷、笛田
アクセス JR横須賀線「鎌倉駅」からバス、「大仏坂」バス停、または「火の見下」バス停で下車

 

 

スタート地点1(大仏側から入る)

・スタート:江ノ電長谷駅から徒歩、鎌倉大仏(高徳院)から徒歩5分

・または鎌倉駅からバス

・大仏トンネル手前の階段を登る

長谷側はこの階段を登ると切通しに行けます。

 

スタート地点2(常盤側から入る)

・スタート:バス停「火の見下」バス停から住宅地に入る

・山道入口よりハイキング開始

他人の家の敷地を歩いているような通を進みます。

すると林になるのでそのまま道を進んでいきます。

 

注意点

・雨天・雨上がりは滑りやすいため、スニーカーや登山靴が安心

・通行止めになることがあるので、鎌倉市のサイトなどで最新情報を確認

・街灯はないので、夕方以降の通行は避ける

 

大仏切通しの周辺スポットと組み合わせて楽しむ

●鎌倉大仏(高徳院):大仏切通から近い

鎌倉のシンボル「高徳院の大仏さま」|歴史と迫力を感じる名所

 

●長谷寺:あじさいの名所。花の寺として季節ごとに異なる表情を見せる

長谷寺のあじさい散歩|鎌倉随一の花寺で味わう初夏の風物詩

 

●光則寺・極楽寺方面:切通しを抜けた散策ルートにもおすすめ

(光則寺)

 

まとめ

大仏切通しは、派手さはありませんが、中世の鎌倉を感じられる貴重な場所です。

階段が多いですが、短時間でも歩けるコースなので、ぜひ鎌倉観光の合間に立ち寄ってみてください。

 

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